第一金曜日は、みすゞ以外の作品で、朗読のお稽古。今、三浦綾子の「母」に取り組んでいます。小林多喜二のお母さんによる、一人称の語りという作品。
多喜二は、社会勉強にと訪ねた料理屋で、貧しい家族を養うため苦界に身を沈めている、タミちゃんに一目惚れ。親友から莫大な借金をして、身請け。母や弟妹と暮す家に引き取ります。ところがタミちゃんは、「自分のような者が傍にいては、多喜二さんの足手まといになる」との書置きを残し、身を裂かれる思いで出奔。
住み込みの病院で働いているタミちゃんを、やっと見つけ、淡いデートの真似事などするも、またしても姿を消してしまった。
二年後、高級ホテルの玄関近くでタミちゃんを発見。聞けば、食堂で給仕をしているという。苦界に舞い戻ってしまったのではと案じていたタミちゃんは、多喜二の教えを守って、自立の道を歩んでいた…。奇跡の再会にもかかわらず、開口一番多喜二が口にしたのは「勉強してるか」だった。
「うん、多喜二さんに言われた通り勉強してる。お母さん元気?」とタミちゃん。
今日の朗読練習で、このタミちゃんの台詞を、むっちゃ可愛らしく読んだ撫子さん。私は、「野菊の墓」に主演した松田聖子が頭をよぎった。そういえば、あの役もタミちゃんだった。「タミちゃんは、野菊のような人だ」…映画のセリフまで覚えている自分にびっくり(笑)!
撫子さんをサカナに、ひとしきり盛り上がった。盛り上がっただけではお勉強になりません。みんなでブリっ子の練習をすることにしました。ありったけの可愛らしさを振り絞って、
「うん、多喜二さんに言われた通り勉強してる。お母さん元気?」
この台詞を全員で練習。もちろん私もやりましたとも。Kさんがボソリと漏らした感想は、「ヤだ先生、借りてきたネコみたい」…全員大爆笑…ちょうど、お後がよろしいようで。
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