2006年10月9日月曜日

印象派レポートその2

 夏木マリがライフワークと位置づける このステージ、この13年間で8度目だそうである。私が初めて観たのは10年程前、今回で5度め。8回のうち5回観ているというのは、優秀な出席率ではなかろうか。私が印象派の存在を知ったのは、誕生してから3年後だったのだから。

 観劇のきっかけは、偶然手にしたチラシ。金髪を逆立てた夏木マリが獣のように吼えている写真を今でも憶えている。「この勝負の立会人になってほしい」という生な本気が伝わってくる、とても良いチラシだった。

 大枚5,000円をはたいて、アートスフィアの観客となった私。オープニングの衝撃は忘れられない。紗幕越し、下手天井付近に薄く明かりが入ると、逆さ吊の夏木マリが‥「誰かが私を強く縛り、誰かが私を深く傷つけ」と繰り返しながら降りてくる。すっかり持っていかれた私の魂は、めくるめく世界に誘われ、終盤、わけのわからない滂沱の涙を流していた。
 意味を解体したところから劇的瞬間を立ち上げようとしている孤高の戦士。私は、夏木マリの志の高さに打たれたのかもしれない。

 このパフォーマンスを言葉で説明するのは不可能です。ただただ、夏木マリが命がけで紡ぎだし刹那に消える瞬間を、愛でる幸せに浸ればよい。かくして私は、この女戦士を観続けることを決定。何をみつめ、どこへ行こうとしているのか‥。

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