塾生は、しっかりとっくにレポートを寄せて下さっていたのだが、他にお知らせしたいイベントを先にしたため、upがこんなに遅くなってしまいました。ごめんなさいね、Iさん。
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蓮馨寺の桜は、薄緑の若葉が伸びて、散り残った桜がちらほらというところ。太麺焼きそば店もお休みであった。でも、みすゞ塾は、みんな元気。塾生夫妻が出演した「まんぼうの里」でのお芝居の話で盛り上がり、塾長のファンパーティーの写真で盛り上がる。お稽古開始までのホームルームも楽しいのである。
4月から、詩集『美しい町』の1番目の詩から毎回、5編ずつ朗読練習をすることになった。最初にみんなで朗読し、詩の解釈や疑問点を話し合う。その後、5編の中から3編選んで朗読をする。読みたい詩、好きな詩を選ぶから、個性が出ておもしろい。今日は「空のあちら」「楽隊」「打出の小槌」「雛まつり」「こぶとり―おはなしのうたの一―」の5編である。
「空のあちら」
空のあちらに何がある。
かみなりさんも知らないし、
入道雲も知らないし、
お日ィさまさえ知らぬこと。
空のあちらにあるものは、
海と山とが話したり、
人が烏になりかわる、
不思議な
魔法の世界なの。
↑は、みすゞが命を絶つ前に手帳に清書した遺稿 の表記。
↓は、大正12年10月。『童話』という雑誌にに投稿して掲載された表記。遺稿と違うところに< >を付けてみました。
「空のあちら」
空のあちらに何がある
<1行まるごとカット>
入道雲も知らないし、
お日<ィ、がカットされている>さまさえ、知らぬこと
空のあちらにあるものは
<山と、海>とが話したり
人がからすに代りかわる
不思議な、魔法の世界<です>
遺稿集と雑誌の掲載作では、どうして表記がこんなに違うのだろう。「これは絶対選者である西條八十が、手を入れている。みすゞにとっては不本意な直しだったはず。かみなりさんは消えてしまったし、お日<ィ>さまがいいのにお日さまだし、<山と海>ではなく、海辺で生まれ育ったみすゞにとっては<海>が先なんだ、ショックを感じるのは魔法の世界<です>と心の入らない終わり方をしているではないか。」とみすゞに成り代わって大憤慨のみんな。推敲を重ねた遺稿集には、みすゞの思いがつまっているにちがいない。掲載作に反して、自分を通したみすゞが偉い!選者であり、師でもあった西條八十との確執があったのではないかと深読みする。あれやこれやと想像と思い込みでにぎやかである。
朗読は、3人が選んだ。夢見がちな少女の世界をあこがれを持って読み上げる。また、大人っぽくしっとりと魔法の世界をのぞき込む。私も烏になりたかったという彼女は、なれたらいいのにねぇとしみじみと朗読。選び抜かれた言葉を表現するのに、人それぞれがおもしろい。
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