2012年7月7日土曜日

モノ申す。

7月9日、上戸彩ちゃんがみすゞの役をやる「金子みすゞ物語」が、TBSで放映される。みすゞと弟との恋がテーマだという。彩ちゃんには何の恨みもないが、テーマがいただけない。

たしかにみすゞには、弟以上、恋人未満という、擬似恋愛的感情はあったかもしれない。しかし、それがテーマだなんて、まるで女性週刊誌だ。

プロデューサーが、視聴率のための描き方をするのはわかる。それを止めるのが、監修者の仕事だ。<詩人>金子みすゞを、真に愛するなら。お金のためなら何でもOKでは、監修の名が泣く。

弟・正祐は、みすゞの詩の一番の理解者だった。(私もそうだが…気が引けるので、カッコにしました・笑)芸術家にとって、仕事が全て。そこに人生の全てを懸けている。仕事への理解に勝る喜びは無い。みすゞにとって正祐は、そういう存在だったのだ。

複雑な家庭の事情から正祐は、みすゞを姉とは知らずに好きになってしまった。みすゞの方は、弟と知ってはいた。しかし、ビミョーに揺れる女心。その後ろには、みすゞの気持ちもわかるなぁといういろいろな環境と理由があるが、長くなるので省く。

無理もないと共感できる事情と理由があるだけに、道ならぬ恋をクローズアップして興味本位に引っ張るのは、いかがなものか。

みすゞの遺児、ふさえさんはご健在だ。まさかドラマで近親相姦的な品の無い描き方まではしていないだろうが、なぜ抗議をしないのか。私なら、母をそんな描き方されるのは、絶対に嫌だ。ふさえさんが抗議しない理由については、口を慎みたいと思う。

いずれにせよ、みすゞをそのように描くドラマにNoと言わない人が監修し、金子みすゞ記念館の館長をし、みすゞに関する一切の権利を牛耳っている。

その矢崎氏の著書『金子みすゞの生涯』が増刷だそうだ。この本は、稿を急いだためのミスか、取材不足か、はたまた故意か定かではないが、齟齬が多い。にもかかわらず、氏の創り上げたみすゞの偶像が、また一人歩きしていく…。この国には、権力者を疑わない善人が多い。それは美徳でもあるのだが。

氏は、みすゞを発掘した<発見権>を振りかざし、金子みすゞを商標登録した。みすゞの詩集を世に出した功労には、私も素直にシャッポを脱ぐ。しかし、発掘したのは彼ではない。彼の前に、長州新聞の主幹がみすゞの遺稿を手にし、『話の関門』という雑誌に書いている…と、昨年暮れの週間文春にある。

暮れの文春の見出しは、「おかねって聞くと おかねって答える!?」という散々なものだった。週刊誌に叩かれたのも、火のないところに煙は立たずの道理だ。にも関わらず、氏の著書は版を重ね、この度のドラマを機に、講演の機会を増やすのだろう。

マスメディアに乗ってバラ撒かれる嘘と、私が細々と語り続けるみすゞでは、数が違い過ぎる。でも、私はあきらめない。ごまめの歯軋りを続けてゆく。応援、ヨロシク☆

明日は、埼玉の東松山で朗読講演会。ガンバるぞ~!

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