2013年2月12日火曜日

丸木美術館での朗読レポート 

いつも、塾レポートを寄せて下さる、みすゞ塾の塾生からのレポートで~す*smile*

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丸木美術館クラブ工作教室の10年展
 オープニングイベント                  2013/1/26

「雑木林の葉が落ちて、空が広く見えるね」という仲間の声に、ふと空を見上げる。美術館への細い道は、木々や葉っぱが生い茂るイメージなのだが、枝の間から陽射がキラキラして、青い空が続いている。お日さまの温もりを振り払うような木枯らしに身を縮こませる。

都幾川の流れを見渡せる丘の上の広場で、連太鼓の音がはじけて、イベントが始まった。この冬一番かという冷気が、見守るみんなに吹きつけてくる。

工作教室を10年続けてきた理事の万年山えつ子さんは、木枯らしに負けじと、お祝いの「どんどこ太鼓」を打ち、たたく。かっこよかったなぁ、万年山さん。

「こんにちわ!!寒いですね!!」という谷さんの挨拶に続き、「万年山えつ子を一本の線で表すならば」という、誠抱さんの書道パフォーマンスが始まった。

大筆にたっぷりの墨をつけ、真っ新な紙に力強く一点が置かれ、墨がはじけると、大きく真っ黒な筆の流れができる。誠抱さんの気合と最後のはねで、筆が踊って止まるまでの数秒間…感動のパフォーマンスであった。

木枯らしが吹きやまぬ中、「万年山さんをテーマに選んだ14編」の金子みすゞの詩の朗読になった。

「夢売り」(誠抱さん)パフォーマンスの余韻につなげたかったけど、風がいたずらして、紙を舞い上げるから、聞いている人たちがそれに気をとられて…。

「北風の唄」。きけ、きけ、唄を 私の唄を…とAさん。

「草原」「草の名」「不思議」「学校へゆくみち」…Bさん。万年山さんの少女時代をイメージしてほしい、かわいくてユーモアのある詩なのだけど、木枯らしにじゃまをされてBさん、苦戦しました。順風満帆といかないのも人生かな…ね、万年山さん!

「闇夜の星」「星とたんぽぽ」…ふたたびAさん。万年山さんのいちばん好きだという「星とたんぽぽ」を良い音色で聞かせてくれました。Aさんは、寒さの中で、お客さんの耳をひきつける実力派。

「帆」「海の果」「林檎畑」「花びらの海」…レポートを寄せているワタクシめが朗読。自分の読みは評価できないから、スルーということで(笑)。

「美しい町」「わらい」…三度Aさん。Aさんの朗読は、さすが!野外でも負けない声のAさんを、ピンポイントで起用する谷さんの作戦もさすが!

谷さん 万年山さん 登場。
  
いのち一滴残らず歌い終えたセミが
アリに運ばれてゆく
いのちを次につなぐために
なんというめでたいことだろう

こんなうふに生ききってほしいという願いを込めて、川崎洋の詩を谷さんが朗読。

一緒に暮すうちに、いとおしくなってしまったというセミの亡骸を、谷さんは万年山さんにプレゼント。そんなものをプレゼントする谷さんもブットンデいるが、喜んで受け取ってくれる万年山さんと良いコンビ(笑)。手をつないでスキップするこの二人を止めることは、もう誰にもできない…。

木枯らしとの戦いのなか、行われた書道パフォーマンスと詩の朗読。丸木美術館と万年山さんの10年に捧げます。「10年展、ほんと~に、おめでとうございます!!」

万年山さん曰く、「私は買った材料ではなく、自然と自分の手元に集まる物で楽しく創ることに決めました。それは自分の大切な心の約束事でした。他の人からいただいた物には、その人の想い出や思い入れがありますし、素材や色にかたよりが生じません」。その言葉どおり、出来上がった作品は、どれも個性的で手作りの温かみと楽しさがあふれていました。

帰り道、オレンジに輝きながら沈む夕日の反対側に、薄白く大きな月が雲間に見えました。まさしく「月は東に 日は西に」。

「俳句どおりの景色なんて、初めて!」という谷さんのつぶやきを聞きつつ、うつらうつらの車中でした。              

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