昨日のレポートを、塾生がさっそく寄せてくれました。ホヤホヤのレポート、upします!
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私は、前夜「真実一路」という映画をテレビで見ていて、頭の中がそれで満たされていた。「真実一路」は、昭和10年から翌年にかけて“主婦之友"誌上に連載された山本有三の小説を映画化したもの。川島雄三が監督した昭和29年の作品である。昭和のはじめの家族の考え方が伝わってくる。淡島千景が演じるむつ子は、愛していたが死別した男との子どもを腹に抱え、世間体のために別の男性と結婚し、女の子を出産する。その男性との間にも男の子が生まれるが、家出をして、現在は浅草でカフェーを経営しながら、愛人と暮らしている。元夫が病死したため、男の子の母親になるべく、愛人と別れたが・・・。いろいろあって、母親になりきれず、愛人の元に戻るが、その彼が生活苦と失敗から自殺すれば、むつ子も後を追うより仕方なかった。この時代、女は結婚して母親になるのが当たり前。でもむつ子は別の生き方をしたいともがいていた。そして自らの死を選んだ。世間というレールから外れた生き方をしたいと願う女性にとってとってもとっても生きにくい時代だったのだ。
そういう時代がみすゞの生きた時代だった。だから戦後の生まれの私の感覚でみすゞを非難はできないと思う。塾では朗読の前に「みすゞ豆知識」としてみすゞの一生をなぞっているのだが、ちょうど今は、みすゞの自死を考察している。「真実一路」のむつ子とみすゞがダブってくる。
そんな中で朗読でとりあげたのは、「雀の墓」「夜の雪」「店の出来事」の3編。
雀の墓 Ⅱ集「空のかあさま」より
雀の墓をたてようと、
「スズメノハカ」と書いたれば、
風が吹いたと笑はれて、
だまつて袂へいれました。
雨があがつて、出てみたら、
どこへ雀を埋めたやら、
しろいはこべの花ばかり。
「スズメノハカ」は建てもせず、
「スズメノハカ」は棄てもせず。
これはみすゞの「幻の遺書」だという説があるということを塾長の谷さんが教えてくれた。そうかなぁ、想像することはいいけれど、深読みし過ぎじゃないのかなぁ、映画「禁じられた遊び」の子どもらのように雀の死を悼んでお墓をつくったという事実だけじゃないのかなぁと、私は「幻の遺書」説が腑に落ちない。塾生も5人5様で感じ方がそのまま読みに出てきた。
「雀とみすゞが重なって、雀の思いで読みたかった。」「人生に死はつきもの。明るく軽く生きていくのよ。」「そう、人生っていろいろある。正直に読めば、猫だって目を細めて聞いてくれる。」「わからないことばかり。感情移入ができないから、たんたんと読むだけ。」「いえいえ、文字から想像することを、感情こめて読むこともできるわ。」最後の締めは塾長、決意の程が現れた読みでした。ところで、どんな決意なの?さぁ・・・・・?