2012年1月31日火曜日

2012年1月30日 みすゞ塾レポート

昨日のレポートを、塾生がさっそく寄せてくれました。ホヤホヤのレポート、upします!

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私は、前夜「真実一路」という映画をテレビで見ていて、頭の中がそれで満たされていた。「真実一路」は、昭和10年から翌年にかけて“主婦之友"誌上に連載された山本有三の小説を映画化したもの。川島雄三が監督した昭和29年の作品である。昭和のはじめの家族の考え方が伝わってくる。淡島千景が演じるむつ子は、愛していたが死別した男との子どもを腹に抱え、世間体のために別の男性と結婚し、女の子を出産する。その男性との間にも男の子が生まれるが、家出をして、現在は浅草でカフェーを経営しながら、愛人と暮らしている。元夫が病死したため、男の子の母親になるべく、愛人と別れたが・・・。いろいろあって、母親になりきれず、愛人の元に戻るが、その彼が生活苦と失敗から自殺すれば、むつ子も後を追うより仕方なかった。この時代、女は結婚して母親になるのが当たり前。でもむつ子は別の生き方をしたいともがいていた。そして自らの死を選んだ。世間というレールから外れた生き方をしたいと願う女性にとってとってもとっても生きにくい時代だったのだ。

そういう時代がみすゞの生きた時代だった。だから戦後の生まれの私の感覚でみすゞを非難はできないと思う。塾では朗読の前に「みすゞ豆知識」としてみすゞの一生をなぞっているのだが、ちょうど今は、みすゞの自死を考察している。「真実一路」のむつ子とみすゞがダブってくる。

そんな中で朗読でとりあげたのは、「雀の墓」「夜の雪」「店の出来事」の3編。

雀の墓     Ⅱ集「空のかあさま」より

雀の墓をたてようと、
「スズメノハカ」と書いたれば、

風が吹いたと笑はれて、
だまつて袂へいれました。

雨があがつて、出てみたら、
どこへ雀を埋めたやら、
しろいはこべの花ばかり。

「スズメノハカ」は建てもせず、
「スズメノハカ」は棄てもせず。

これはみすゞの「幻の遺書」だという説があるということを塾長の谷さんが教えてくれた。そうかなぁ、想像することはいいけれど、深読みし過ぎじゃないのかなぁ、映画「禁じられた遊び」の子どもらのように雀の死を悼んでお墓をつくったという事実だけじゃないのかなぁと、私は「幻の遺書」説が腑に落ちない。塾生も5人5様で感じ方がそのまま読みに出てきた。

「雀とみすゞが重なって、雀の思いで読みたかった。」「人生に死はつきもの。明るく軽く生きていくのよ。」「そう、人生っていろいろある。正直に読めば、猫だって目を細めて聞いてくれる。」「わからないことばかり。感情移入ができないから、たんたんと読むだけ。」「いえいえ、文字から想像することを、感情こめて読むこともできるわ。」最後の締めは塾長、決意の程が現れた読みでした。ところで、どんな決意なの?さぁ・・・・・?

2012年1月18日水曜日

2012年1月16日 みすゞ塾レポート

塾生より届いたレポート、upします。生の声をお楽しみ下さい!

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新年最初の塾は、海、空、月、星とみすゞの世界が広がる「貝と月」「大きなお風呂」「一番星」の3編取り上げた。

「貝と月」         

紺屋のかめに
つかって、
白い絲は紺になる。

青い海に
つかって、
白い貝はなぜ白い。

夕焼け空に
そまって、
白い雲は赤くなる。

紺の夜空に
うかんで、
白い月はなぜ白い。 (Ⅲ集「さみしい王女」より)

「どうしてみすゞってこういうふうに考えるのだろうねぇ。」とそれぞれが色に対する思いを込めながら読みあった。

最初は、「こんなこと考えたこともないけれど、みすゞの疑問はよくわかる。」とその疑問を素直に読んだAさん。

「空も海も青くて、お陽さまは赤いって思い込んでいてそれを描けば『上手だね。』とほめられるのがうれしかった。」というBさんは、大人になってから、自然はいろんな色が含まれると開眼したので、どんなことでもありだよねと明るく読み上げた。

「お陽さまは赤くない!!」と言い張り、赤く描けなった子どものCさん。教師が親を呼び出したけど、「そうですねぇ。昼間のお陽さまは白いですねぇ。」と言ってのけた母さん偉い!!Cさんの色に対する観察や思いがにじむなとしみじみ聞いた。

自分もお陽さまをオレンジに描いたというDさんは、さらりと読んで風景を呼び起こす。遅れて参加のEさんは、歩きながら読んでくれた。風景に動きが出てくるようである。

みすゞ塾は、朗読教室のように正しい読み方を追求するものではないので、塾生が個性を発揮するのを塾長の谷さんは「いいねぇ。おもしろいねぇ。」と楽しんでおられる。塾生は、毎回ドキドキしているんだけど、ほめられれば、いろんな表現に挑戦しようかと思う。「紺屋のかめって、亀さんが海の中泳いていて糸が青くなるのを想像しちゃたよ。」と、とんちんかんな塾生もいて、笑いが絶えない塾でした。            

2012年1月12日木曜日

山形の新聞、米沢日報の元日号に特大記事が載りました!

「今年置賜デビューを目指す女優 谷英美」の見出しも華やかに、有り難い新年のスタートです。社長自ら、昨年8月、那須の朗読会にいらして、丁寧な取材をして下さいました。

お求めになりたい方は、トップページより、アローン・シアター事務局までメールして下さい。1部400円でお分けいたします。お正月ですし、太っ腹で送料はサービスです。縁起物ですから、ご利益ありますよぉ!お守り代わりに、ぜひどうぞ*smile*

見出しにある通り、山形県川西町公演の企画が持ち上がっています。川西町は、井上ひさし先生の故郷。先生の「父と暮せば」という名作に、私も3年前から取り組んでいます。こまつ座の初演に感動し、いつかやりたいと思い続けきました。夢かない、やっと演目に加えることができました。去年、「父と暮せば」川越公演を観て下さった米沢出身の方が、故郷の同級生に掛け合って下さり、川西町公演の企画が動き出しました。

私としては「父と暮せば」をやりたいところですが、演目は「空のかあさま」になるかもしれないそうです。その時は、「次はぜひ、父と暮せばをやりたい」と駄々をこねてみます(笑)。米沢日報さんのお力添えで、実行委員会を立ち上げているところです。実行委員長に立候補して下さる方、実行委員となって下さる方、スポンサーとなって下さる個人や企業、いずれも大大大大募集中です。我こそはと思わん方は、米沢日報さんにご一報下さいませ。

米沢日報 発行所 株式会社置賜日報社
〒992-0051 山形県米沢市城北1丁目3-18
TEL 0238-22-7250 FAX 0238-22-7252
E-mail: info@yonezawa-np.jp
HP:  http://www.yonezawa-np.jp
YouTube:http://www.youtube.com/user/TheYonezawanippo
twitter:@yonezawanippo
facebook:http://www.facebook.com/profile.php?id=100003095370042

2012年1月8日日曜日

1月6日「あろーん・しあたー高階」レポート

このサークルは、月に2回。普段は、みすゞの詩と、みすゞ以外の作品を交互にやっています。今回は朗読新年会という趣向で、歌の朗読。カラオケをバックに歌詞を朗読します。「歌の朗読」は、シダックスでも講座をやっていますので、どんなものなのか知りたい方は、このサイトの「れぎゅらぁさぁくる」を見てみて下さい。

歌詞って、ホレたハレたも多いですし、普通の詩とは別世界のドラマがあります。アブナイ恋の主人公になれちゃったりもするわけです。

で、今回の曲目は、スガシカオの「風なぎ」、「天城越え」、森山直太朗の「さくら」。「風なぎ」は、知らない方が多いかもしれません。大切な人を自死で亡くした友人は、音楽を全く受け付けなくなってしまっていた時も、これだけは心に入ってきたと言っていました。震災を経た今、以前とは違う痛さで沁みてきます。難しい詩なのですが、挑戦した方が一人ありました。消化不良の部分も当然ありましたが、チャレンジ精神やよし!

問題は「天城越え」です。「演歌はキライです」「ドロドロしたのは…」等等等、賑やかだこと(笑)!悪女への変身願望を持つ、Kさんのために選んだのに。でも結局、難を示したお二人は、これを朗読されました。

それが色っぽいの何のって!!!聞いていて、喉がカラカラになってしまいました。ドキドキする羞恥心を乗り越えようとする姿が、色気を生むのですね。

後から思えば最初、難を示したのも無意識のポーズだったのかもしれません。本当は、やってみたいけれど…という。いくつになっても初々しさを失わない、キュートなお姉さま方に乾杯*smile*

2012年1月5日木曜日

稽古始め

自前の稽古場がないので、近所の公民館でやっています。今日が初稽古。でもって公民館にとっても、私が今年初めての利用者だそうです。そりゃそうだ、こんな年明け早々から活動するサークルなんてないですから(笑)。か・し・き・り!なんか気分イイ*smile*

一人でせこせこストレッチして、筋トレして、発声やって、明日のサークルの予習して、「父と暮せば」の稽古して、「空のかあさま」の稽古して、ピアノもちょっぴり練習して…あっという間。やっぱ稽古はいいなぁ!身体が引き締まる。

今年も、ガンバるぞ~!明日は、朗読サークル「あろーん・しあたー高階」の今年の初日です。その後は、相手役と「父と暮せば」の稽古。このブログで、またレポートしますね。

さ、賀状書きは終わったから、寒中見舞いに取り掛からなくっちゃ。「ドラゴンボール」っていうアニメでは、五つの玉を集めると願いが叶うとか。そういえば龍って、手だか足だかに、玉を持ってますよね。今年は、たつ年。玉(ぎょく)を握って龍と化(な)り、北の空へと翔んでゆきたい…そんな気持ちを、被災地の友へ届けます。

2012年1月2日月曜日

年頭にあたり

新年のご挨拶を申し上げます。アクセス数の少ないサイトではありますが、新年早々訪れて下さった方もあるようです。本当にありがとうございます。このブログだけでも、なんとか更新頑張りたいと思っています。お見限りのないよう、本年も宜しくお願いいたします。

皆さんは、どんなお正月をお過ごしでしょうか。私は賀状書きに追われております。毎年、450枚前後、手作り印刷し、一言添え書きするのは、けっこう大変です。表書きだけでも印刷にしてしまえば、うんと楽になるでしょう。でもそれではきっと、どこの誰だったか、思い出せなくなってしまう…。4冊にわたる住所録には、いただいたお年賀状もファイルしてあります。それを見ながらお一人お一人を想い、「ああ、この方は、あの芝居を観に来て下さったなぁ」と記憶を辿りながら、宛名を書いています。下手な字も味のうちと、自分を励ましつつ。

昨日、元日早々にドサリと届いたお年賀状を一枚一枚拝見しながら思ったこと。震災を経た今年は、これまでと同じお正月ではないと感じています。私は「おめでとう」という気持ちになれなくて、どんな内容にするかずいぶん悩みました。さて皆さんは、どんな文面にしたのだろうとめくってみたらば…。複雑な気持ちになってしまいました。

例年と変わりないものがほとんどの中で、「新年のご挨拶を申し上げます」という言葉に目が留まりました。さりげないけれど、この一言を選んだ心根が伝わってきます。素敵な人だなぁと思いました。

「例年と変わりない」世情を責める資格は、私にはありません。これまでは私も、そうでした。被災地に、大事な人がいるかいないかで、こうも態度が変わるものかと、自分のいい加減さを知りました。その自戒をこめて、お願いします。被災地を忘れないで下さい。心細さに震えている、声なき声に、耳を傾けて下さい。そして「想っている」と「忘れないよ」と、伝え続けて下さい。
見えぬけれどもあるんだよ
見えぬものでもあるんだよ…

さぁ、また賀状書きに戻ります。ガンバるぞ~*smile*

引っ越し:追記

谷英美サイト は、この旧ブログへお引越し予定。サイトは閉鎖予定です