2012年6月27日水曜日

21012年7月1日(日) 苦しみが生んだ優しさ「金子みすゞの世界」

埼玉県川口市にある真光の道場で朗読とお話をさせていただきます。宗教行事のため、一般の方にご参加いただくことができず残念です。

私は金子みすゞの他に、沖縄戦の朗読も続けています。一昨年、「原爆の図」で知られる丸木美術館で、OKINAWA展が開催されました。そのイベントでも、沖縄戦の朗読をさせていただきました。その時、埼玉の草加市に住む、沖縄戦の体験者・Nさんとの出会いをいただきました。

Nさんは、爆弾の破片で鼻をそがれ、女性が顔に怪我をするという過酷な人生を生き抜いてこられました。私は物書きでもないのに、Nさんをモデルにしたお話を自分で書き朗読したいと思ってしまったんです。

ちゃんと書きげることができるかわからないけれどチャレンジさせて欲しいとNさんにラブレターを送り、体験をうかがい、昨年、沖縄へ一緒に取材にも行きました。

沖縄から帰ってきたのが震災の前日。私は陸前高田や福島に公演で大変お世話になったため、被災地の支援に駆けずり回り、取材を整理する時間もないまま時は過ぎ…。

そうこうしているうちに今年の2月、Nさんのご主人が亡くなってしまったんです。書き上がったら、真っ先に読んでいただこうと思っていたのに、永遠にその機会を失ってしまいました。

葬儀にうかがい、私は心の底から詫びました。「間に合わなくて、申し訳ありませんでした」と。命の時間には限りがある。Nさんのお年を考えると、もう絶対に先延ばしにしてはいけない。

自分でお尻をブッ叩いて、やっと書きあがったのが、3月末。まずはNさんに読んでいただき、お披露目をしたいねということになり、Nさんが信仰しておられる真光の道場でやることになったのですが…。

私が書き下ろした「顔」の朗読会の前に、Nさんとのご縁などをお話する、自己紹介的なワンクッションがあった方が良いだろうということになり、急遽、演目を変更。ライフワークとしている金子みすゞに演目変更となりました。

真光は神道系のようなのですが、みすゞは、神様の詩もたくさん書いています。そして、苦しみに磨かれた魅力は、Nさんと一緒です。皆さんの心に響くステージをできるよう、頑張ってきます。

…って、真鶴から帰ってきてすぐなので、正直テンパってます。ガンバれ!あ・た・し☆

2012年6月23日土曜日

2012年6月28日(木) 「金子みすゞとそれから私」~命の授業~

@真鶴中学校体育館

「真鶴教育月間」事業として、朗読とお話をさせていただきます。去年は町民の皆さんを対象とした「しおかぜセミナー」で、金子みすゞの朗読講演会をさせていただきました。今年は対象を変えて、真鶴中の全校生徒と、真鶴小の6年生。他、保護者や地域の方々。

リピートは、とっても嬉しいです。去年の講演会が良かったからまた呼びたいと、教育長さんが言って下さったそうです。教育長さんは、ものすごく目力のある方で、つぶらな瞳との再会が今から楽しみです。

4月に打ち合わせにうかがった折、指導主事の先生より、「命の大切さを、子どもたちに伝えてほしい」との、ミッションをいただきました。「震災を経て、子どもたちは、命についてあらためて考え始めている。良い機会だから」と…。

う~ん…<命は大切>、これあたりまえ。みんな頭ではわかってる。その先、理屈ではなく、心でわかるように話すって、けっこうむつかしい。まして、みすゞは自死したわけで。その詩と生涯を通して、命の大切さを伝えるのは、とってもむつかしい…。

ここはひとつ、逆説的に話す予定。え?想像がつかない?そうでしょうとも。知りたい方は、どうぞいらして下さいね。え?真鶴は遠い?そういう方は、どうぞ私を講演会に呼んで下さいな*smile*あたなの町にも出前しますよ~!。

ちなみに真鶴の遠藤貝類博物館は、陸前高田<海と貝のミュージアム>の標本復旧のお手伝いをしています。陸前高田の支援を続ける者同士がひょんなところで出会い、嬉しかったです。こういうことをご縁というのかな…。

去年の打ち合わせの時、担当の方が連れていって下さったのですが、とても楽しかったです。鯨の骨の標本に触らせていただいたりして、大感激。みすゞの詩に出てくる<月日貝>という美しい貝もありました。

今年の打ち合わせでは、中川一政美術館に連れていっていただきました。薔薇とひまわりを描き続ける見事なしつこさ!「好きになるって、こういうことだよね」と、ものすごく共感。奔放に額まで自作する自由さ…おおいにインスパイアされ、充実したひとときでした。忙中閑あり、仕事における嬉しいおまけです。

さて、指導主事の先生からのミッションはむつかしいお題だけれど、<それから私>の部分で、自分の左手首の傷のことなど話してきます。みすゞの自死も含め、死を鏡としながら、命の話を…。頑張ってくるぞ~☆

2012年6月19日火曜日

2012年6月11日 みすゞ塾レポート

塾生は、塾の翌日にはレポートを寄せてくれていたのだが、「空のかあさま」小川町公演でバタバタしており、upできませんでした。ごめんなさい。おかげさまで、土曜日の公演は無事終わりました。皆さん、ありがとうございました!公演のレポートも書きたいところですが、FBの方に、事務局が写真upしてくれたり、いろいろコメントいただいたりしているので、よかったらそちらを見て下さいね*smile*

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・                
今日の朗読は『美しい町』より、「にわとり」「夕顔」「箱のお家」「栗」「さかむけ」の5編。塾生は、その中から3編を選んで朗読をする。選ぶ視点も人それぞれである。塾生は4人参加。今日は、3人が選んだ「夕顔」を取り上げて報告したい。


「夕顔」
お空の星が
夕顔に、
さびしかないの、と
ききました。

お乳のいろの
夕顔は、
さびしかないわ、と
いいました。

お空の星は
それっきり、
すましてキラキラ
ひかります。

さびしくなった
夕顔は、
だんだん下を
むきました。


この詩は、西條八十主宰『愛誦』の昭和4年5月号に掲載された。雑誌では、最後の2行が「だんだんしぼんで/ゆきました。」となっている。そして、これが投稿し掲載された最後のものであるという。

3人の読みは、夕顔にみすゞの思いを託し、さみしく読み上げたもの。お空の星の気持ちがみすゞに近いものであるからとつきはなしたように読み上げたもの。思いはあってもそれは託さずたんたんと読み上げたもの。3様の読みになった。

みすゞが自死する1年前に掲載された詩であるが、創ったのはいつなのだろう。夫に創作を止めさせられる切なさつらさを夕顔の姿と重ねたのだろうか。

それとも、みすゞの詩人としてのプライドは、すましてキラキラひかるお星さまなのかもしれない。その解釈を塾長は、お星さまの方をみすゞと捉える考え方は初めてとしきりにおもしろがる。たしかにみすゞは芸術家でその才能は枠にはまるものではない。

さびしい夕顔をみすゞと結びつけたくなるのは、思い込み過ぎるためだろう。自然界の営みを人の思いや生き方と結びつけることはできる。そのように創作することもあるだろう。いろいろみすゞに思いを寄せながら、一編の詩を語り、朗読できるのはおもしろいことだと再認識した「夕顔」であった。

ちなみに私は、この詩を選ばなかった。下をむく夕顔とみすゞを結び付けたくなかったから。みんながさびしい詩だというと、そうじゃないとへそを曲げる性格が出てきたから。(←谷・そこが面白いんですってば!)

2012年6月9日土曜日

2012年6月16日(土) 「空のかあさま」

開場13:30 開演14:00
@埼玉県小川町 パトリアおがわ ふれあいホール
 http://www.town.ogawa.saitama.jp/info/shisetsu/patoria01.htm 

入場料 大人2,000円 高校生以下・障がい者1,000円

主催 小川町『空のかあさま』を観る会
後援 小川町 小川町教育委員会

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このサイト管理人が、多忙をぬってtopでも告知してくれていますが、情報が必要最低限過ぎて…すみません、詳細は上記です。

小川町は、和紙の里。伝統がありながら進取の気鋭を感じる、軽やかな風が吹いています。文化の香り高き町に、お芝居を観がてら、小さい旅はいかがでしょうか。どうぞお出かけ下さいな。心よりお待ちしております。

2012年6月6日水曜日

2012年5月28日 みすゞ塾レポート

今回も担当の塾生がお休みだったため、塾長によるレポートです。その方を含め、3人もお休みだったのですが、淋しくならないのが不思議(笑)。パワフルな塾生に、『アローン・シアター』会報発送作業のお手伝いをしていただきました。1時間早く出てくるのは大変だと思うのですが、本当に助かっています。

お礼は、感謝を込めた<スウィーツ>。今回は東北支援のため、岩手は住田町と平泉のお菓子。はからずも、塾生からも「お土産です」と仙台銘菓<白松がモナカ>が!聞けば、石巻の渡波に朗読ボランティアに行ってきたとか。10時のおやつをしながら、いろいろお話をうかがいました。

被災地を想う温もりを心に宿しながら、さぁ、お稽古。この日は「まつりの頃」「雀のかあさん」「月と雲」「泣きむし」「小さなうたがひ」。


「雀のかあさん」

子供が
小雀
つかまへた。

その子の
かあさん
笑つてた。

雀の
かあさん
それみてた。

お屋根で
鳴かずに
それ見てた。


いつもながら、解釈とは、こんなに分かれるものかと…!!!

Aさん「得意気な子どもの気持ちを、笑顔で汲んであげるお母さんの気持ちもわかるし、子雀を捕まえられてしまってもどうすることもできないお母さん雀の気持ちもわかる。それぞれの気持ちが、よく出ているなぁと思います」

Bさん「引いて見ている、みすゞのクールさを感じる」

Cさん「ビミョー」

で、読みはというと…。

Aさん。子雀が心配でたまらないというお母さん雀の気持ちが、ものすごく伝わってきました。物事を、まっすぐにおおらかに捉えるお人柄がよく出ています。

Bさん。第三者的、冷静な読み。

Cさん。「ビミョー」の中味がよく伝わってきました。<笑つてた>と<鳴かずに>に、<ビミョー>な色が滲んでいました。

たしかに、お母さん雀は、人間に対して非力です。子雀を取り返す闘いを挑むわけにもいかないのだから、鳴かずに見ているしかないんですよね。でも私は、そこにみすゞの母・ミチとみすゞの関係性を、どうしようもなく感じます。

自分を守ってくれなかった母・ミチ。でも他家の後妻に入り、その家にみすゞも居候している…という状況では、どうすることもできなかった。その母の立場や気持ちを、みすゞはよくわかっていたでしょう。私にとってもやはりこれは、<ビミョー>に切ない詩です。

そんな苦い寂しさをも愛でながら、みすゞの魅力を分かち合う…そんなひとときでした。

2012年6月3日日曜日

2012年5月22日(火) キラリ☆笑レポート

どんな活動をしているのかは、本サイト内の「サークル紹介ページ」↓を見て下さいね。
 http://www2.u-netsurf.ne.jp/~apro/html/lecture_regular/kirari.html 

キラリ☆笑では、ピアノを弾けるメンバーによる生伴奏で歌詞を朗読する♪歌の朗読を楽しんでいる。今回は『花嫁』(はしだのりひこバージョン)と『どんぐりころころ』。

『どんぐりころころ』は、お山が恋しいとどんぐりに泣かれ、どじょうが困っている…という2番で終わっている。ふとした思い付きで、続きをそれぞれ作詞して発表するという試みにチャレンジ。なんか中途半端な終わり方でこの後、どんぐりとどじょうは、この後いったいどうしたんだろう…と気になるじゃないですか(笑)。ハッピーエンドでなくてもかまわないから、何らかの結論をつけたくて。

いざやってみたら、個性満載、哲学的なものも含め、素晴らしい歌詞が出てくるわ出てくるわ!全部は載せきれないけれど、いくつかご紹介すると…

R子さん
どんぐりころころたのしんで
みんながそれぞれうたったが
やっぱりどこかがおかしくて
わらっておなかがすきました
(大宮でR子さんを知らなかったらモグリというぐらい、市民活動の世界では有名な方なのだが、立派なお人柄からはちょっと想像がつかないくらい、とぼけた味わいの歌詞…このゆる~い感じが魅力の源なのでしょう)

Mさん
どんぐりころころどんぶりこ
それでもどじょうはあきらめず
どろにもぐったりおどったり
泣いてるどんぐりわらわせた!!
(黒一点の男性。やっぱり女性陣とは一味違う。河口恭吾の『桜』の歌詞♪いつもそばにいるよ 君を笑わせるから…を彷彿とさせる)

I子さん
どんぐりころころ悲しくて
何にもできずにいたけれど
みんなの気持ちに気がついて
笑ってみんなと暮したよ

M代さん
三、 どんぐりころころおじさんと
    歌でも歌おう泣かないで
    クロール背およぎ水あそび
    僕には無理だよ水泳は

四、 どんぐりころころどこいった
    ぼくらの仲間はころがって
    お池の中にぽっちゃんさ
    そちらでがんばれ芽を出せよ

Tさん
どんぐりころころころがって
たどり着いたは埼玉県
ここぞ第二の故郷と
嬉し泣きして住みついた
(振り付きで朗読!今年の発表会、Tさんはこれに決定)

Hさん
三、 どじょうは泣いてるどんぐりと
    じっと岸辺で待っていた
    夕日が池に沈むころ
    池にお山がうつってた

四、 あれからずいぶんたったころ
    どんぐり大きな木になって
    池のほとりにじっと立ち
    お山とお池をながめてる


どんぐりころころ ドンブリコ
山からハトさん飛んできて
つまんで帰ってくれました
どんぐりころころ良かったね
(R子さん同様、このズッコケタ感じがいいのかも・笑)

むっちゃくちゃ楽しいお稽古のしめくくりに、なんと皆さんからバースデーカードをいただきました!!!24日がお誕生日なもので。年はナイショ…とか言っても、フェースブックでは生年月日載っちゃってますが(笑)。陸前高田の戸羽市長からも、FBを通じてお祝いのメッセージが届きました。嬉しいお誕生日となりました。皆さん、ありがとうございました*smile*

引っ越し:追記

谷英美サイト は、この旧ブログへお引越し予定。サイトは閉鎖予定です